統合失調症は、世界中の国や地域、民族を問わず発症する、人類にとって非常に重要な病気の一つです。
様々な研究結果がありますが、概ね100人のうち数人が発症するとされており、家族や同級生などの知り合いにも患者様がおられる方もおられるのではないでしょうか。
統合失調症は長らく科学的な解明が進みませんでしたが、最近では脳の神経系の発達異常や傷害が発症に関与するなどの説が提示され、生物学的な研究が徐々に進んできています。
思春期から青年期に症状が顕在化していくことが多く、適切なケアがなされないとその後の人生に多大な影響をもたらします。
統合失調症は「100人いれば100人100様」と言われ、症状も経過も非常に多彩です。
幻聴や妄想などの症状が有名ですが、それらの症状がない方もいます。妄想は自分に関係のないことを自分に結び付けて考えてしまう関係妄想と言われるものが特徴で、さらに悪口を言われる、見張られているなどの被害的な関係妄想を持ちやすいため、影響されて様々な思考や行動の問題を起こすことが見られます。
また、思考や行動の興奮状態により、社会的な逸脱行動を起こしてしまうことがあり、その他の様々な思考障害やうつなどの気分の障害、認知機能の障害など慢性期には活動性の低下、疲労・倦怠感、自閉などの症状が見られます。
統合失調症は、急性期や症状の予防を中心に薬物療法が重要ですが、長期的な視点で考えると、病気と見るのではなく障害構造論に基づく社会復帰や社会参加のためのリハビリなどが更に重要となります。