認知症とは、成人になってから起こる認知機能の障害で、このために普通の日常生活が困難になった状態です。高齢者に著しく多いことから、高齢社会ではその対応が緊急の課題とされています。
現在の日本では、世界でも有数のスピードで高齢化が進んでいます。そして、認知症人口も急激にふえ、2025年には450万人程なるという推計もございます。
2005年に行われたある統計調査では、認知症人口が約205万人とされていましたので、20年間で2倍以上に増えることになります。
また、65歳以上の方の10人に1人、85歳以上の方では、アルツハイマー型に限っても、4人に1人は認知症になるという報告もあります。
年を重ねても、認知症にはなりたくない。誰もが、そう思うことです。
しかし、年齢を重ねると多くの人が認知症になってしまうこともまた事実です。ですがその一方、80歳を超えても生き生きとした好奇心を失わず、判断力も衰えない方もいます。認知症は、まだまだ分からないことも多い病気ですが、昨今では研究も進み、認知症のリスク因子となることが分かってきています。
もちろん、一つのリスク因子だけで認知症になるわけではありませんが、ライフスタイルを見直してリスク因子を減らしていくことで、認知症を防ぐ一助とすることは可能となります。
65歳以上から90歳まで、アルツハイマー病の有病率は5歳上がるごとに倍増するとされています。
年を重ねることは、認知症の最も大きなリスク因子の一つです。親兄弟にアルツハイマー病患者がいる方は、そうでない人よりも危険率が3.5倍程高くなるとされています。
糖尿病や高血圧、脳血管障害は、脳血管性の病気だけでなく、アルツハイマー病のリスク因子にもなるという調査報告があります。
44歳から54歳の中年期に、高血圧の傾向にあった方は、血圧が正常な人に比べ、アルツハイマー病の危険率が2.3倍程になります。中年期にコレステロール値が高かった方は、コレステロール値が正常な人に比べ、アルツハイマー病になる危険率が2.1倍程になります。
即ち、中年期にどんな生活をするかで、その後にやってくる老年期の健康が決まるといっても過言ではありません。
肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は、認知症のリスク因子になりますので、暮らし方・生活習慣を改善することはたいへん重要です。
認知症と社会的ネットワークとの関わり注目したあり調査では、一人暮らしや、社会とのつながりが欠けることは、認知症のリスクを1.5程高め、既婚で同居者がある方に比べ、非婚の単身者のリスクは1.9倍程になるとされています。そして、社会的ネットワークが豊富な方に比べ、ネットワークが少ない方は認知症の危険度が60%程度増加するとも言われます。
また、脳を活発に働かせると、神経細胞の間をつなぐネットワークがふえ、知的能力が高まって、それが認知症予防にも繋がります。
読書、ゲートボール、楽器の演奏、ダンスなど、アルツハイマー病をはじめとする認知症の原因疾患を防ぐ効果があるとされるものに積極的に取り組み、人の社会との関わりによって、認知症を防ぐことも重要です。
いすれにしても。認知症は、早く見つけて専門医を受診することができれば、症状の進行を遅らせるための様々治療が可能です。
早期発見・早期治療は、がんなど命にかかわる病気だけでなく、認知症にとっても大きな予防策ですので、気になる兆候がおありの際は、ぜひお早目に当院へご相談下さい。